
ランチ。
それは、仁義なき食の戦国時代。
和食が、中華が、イタリアンが、ラーメンが、そばが、肉やら魚がしのぎを削る、魂と胃袋を刺激するバトルロイヤル。
という訳で、以前から目をつけていた太田市新居町の和食店「話食処しん」に人目を忍んで出かけてきた。
なぜ「このお店か」という説明をすると長くなるのだが、長くなったところで一向に困らないので説明しよう。
我が家でも数少ない「放送されたら必ず視聴するテレビ番組」の一つである「孤独のグルメ」の中で、愛すべき井之頭五郎が訪れた一見の小料理屋。
そこで食べていた和食だから刺身だかなんだか忘れてしまったが、とにかく「魚介を使った美味しそうな和食」を見た私は、その瞬間「生魚喰いてえ症候群」に陥ってしまった。
すぐさま、文明の力「スマートフォン」を取り出した私は、近隣にある「新鮮な魚介を出してくれるレベルの高い、かつ値段の安い和食店」を検索した。
「検索プロフェッショナル」である私は、すぐさま目的を達した。
そこで見つけたのが、前述の「話食処しん」である。
太田市を南北に貫く国道407号線から西へ。
新井町界隈の賑やかな通りを過ぎたところに「話食処しん」はあった。

決して目立たない看板が道路脇に一つ。
そこを曲がると店舗の周囲に駐車場がある。
駐車台数は最大6台と決して広くない。
正午を過ぎると、もう満杯という情報を事前に得ていたので、私は11時30分のオープン時間を目指して、車を法定速度で走らせた。
本日一番乗りでお店に到着すると、しっかりと駐車場の箸に車を停め、店内へ。
「あれ?ここは勝手口かな?」という、あまりにも入り口感のない入り口を通って中に入ると、そこはこじんまりとした「小料理屋」の風景。
右手手前に四人がけのテーブルが2つ、左手に小上りの座敷が3つ、右手の奥が厨房になっている。
店内には、おそらく先代のご主人と女将さんであろうと推測されるご夫婦がフロア担当、おそらく跡継ぎである若大将と若女将であろうと思われる若いご夫婦が厨房を担当していた。
小上りの奥の席について、本日のメニューを拝見する。
メニューは手書きした紙をコピーしたもので、日付が入っているところを見ると、毎日変わるようだ。

さて、ご覧あれ。
これが本日のランチメニューである。
このメニューを見て、迷わない人類がいるだろうか?いや、いない。
見よ、この豪華な魅惑のラインナップを。
森保ジャパンが、どれだけ海外組を招集しようとも、ここまで魅力的なメンバー構成にはならないだろう。
もはや、サインペンで書かれた字までもが美味そうである。
私は悩んだ。
竜王戦の羽生善治がごとく、日をまたいだ超長考まで視野に入れて悩もうとしていたのだが、視界の端には、メモとボールペンを片手に呼ばれるのを待っている大将の姿がある。
早く、決めなければ、ヤラレル。
事前の調査で、
- お刺身や魚介が鮮度抜群で旨すぎる
- お刺身や魚介が鮮度抜群で旨すぎる
- 濃厚カニクリームコロッケが実は名物
という情報を得ていたので、「お刺身とカニクリームコロッケ」は外せないと考えていた。
②のお刺身四点盛りとカニクリームコロッケの定食にするか、はたまた、本日の目玉である海鮮五色丼とカニクリームコロッケにするか。
悩みに悩んだ挙げく、私は「限定5食」という魔力に屈して、海鮮丼をチョイスした。
その後も続々と来店があり、正午を前にして、席は埋まった。
十五分ほどして、注文したメニューが届けられる。
こちらが、本日の目玉ランチ限定5食。
海鮮五色丼とカニクリームコロッケ定食である。

海鮮丼の中身は、甘エビ、紅ズワイガニ、カツヲ、青ヤギ舌切、マダコの5種類。
小鉢になめこの味噌汁、お新香、熱々揚げたての濃厚カニクリームコロッケがついてくる。
ご覧いただきたい、実に壮観な眺めである。
このキラキラした海鮮の小山。
実に見事な「海の山」と言えよう。

言葉に出して言うのも恥ずかしいが、「美味い」。
それぞれ歯ごたえの違う魚介の数々。
咀嚼するたびに溢れ出る甘みがすし飯とベストマッチであることは言うまでもない。

そして、お待ちかねのカニクリームコロッケである。
事前に大将から「熱いから気をつけて」と言われていたが、ここは一つ豪快に頭からかぶりついてみる。
お口の天井をやけどしないよう十二分に注意して、ぱっくり。
熱い。高速はふはふでも対応できないほどの熱さである。
しかし、その熱さが過ぎると、とろりとした濃厚なカニクリームの旨味が口全体に広がっていく。
コロッケにカニクリームを入れようとした先人の偉業を讃えずにはいられない。
海鮮丼、キャベツ、カニクリームコロッケ、海鮮丼、味噌汁、海鮮丼、おしんこ、カニクリームコロッケと見事な継投で食べ続け、ご飯粒一つ残さず完食した。
丼のご飯は、結構な量があり、身長180センチ弱、食欲旺盛な私でも、しっかり満腹になった。
ちなみに、食後にはアイス烏龍茶かアイスコーヒーのどちらかを出してくれる。
さらに混み合ってきたので、早々に席を空けることにした。
幸せなランチの時間は、皆で平等に分かち合わなければならない。
「次は何を食べようか」
満腹であるはずなのに、それを考えてしまう私がいる。
- 遅くとも正午までには来店するべし
- 何を食べるか悩んだら「もう一度来ればいいや」と開き直るべし
- 濃厚カニクリームコロッケは一度喰っとくべし
メモ
話食処しん
群馬県太田市新井町574−19
11時30分~14時30分, 17時30分~0時00分
火曜定休